走る前に怪我予防として毎回ストレッチをやってる人って多いですよね。
走る前にはアキレス腱や股関節をじっくり伸ばしておくもんだ、それが怪我予防になるんだよ、というのが昔からの考え方でした。
しかし、ここ最近は「じっくりゆっくり腱を伸ばす」系のストレッチである「静的ストレッチ」は、走るなどの運動前に、やりすぎないようにした方がよい、という考え方が主流になりつつあります。
最初聞いたときは私もびっくりしましたが、その理由や根拠を見ていくと、納得するしかないです。
静的ストレッチをやりすぎると怪我をしやすくなる
静的ストレッチをすると、筋肉・腱が伸ばされて、ゆるんだ状態になり、運動時のとっさの動きやアクシデントに踏ん張りれず転倒してしまったり、捻挫してしまうリスクが高まります。
学生時代に柔軟性の高い後輩がいたんですが、当時は今ほど、運動前の静的ストレッチによるリスクが世の中に浸透していなかったので、そいつは柔軟性の高いその肉体を運動前にさらに十二分に伸ばし、これで怪我予防は万全や!やることはやったで!的な満足感と共に颯爽と走り出していましたが、しょっちゅうつまづいては、ぐにゃんとよろけて足首や膝を痛めていました。
あの頃に戻れるならあいつに教えてやりたい…。
静的ストレッチをすると運動能力がおちる
静的ストレッチをすると運動能力がおちることが最近の研究でわかってきています。
45秒以上の静的ストレッチによって、筋力は平均5.5%、跳躍力や瞬発力は平均3%低下したという研究結果もあるそうです。
瞬発的に力を発揮しようとする場合は、筋肉を収縮させる必要があるわけですが、
よくよく考えてみると、
静的ストレッチにより伸びた状態の筋肉を収縮させるには通常時よりも余計に力を使いそうな気がします。
前述の研究では同じ部位を45秒以上伸ばさないよう警告しているそうです。
瞬発系の運動前に静的ストレッチを「やってはいけない」と言っているわけではなく、「やりすぎるな」と言っているだけのようですので、そこはおさえておいてください。
瞬発系の運動前には動的ストレッチがオススメ
じゃあ、短距離走のような瞬発力が求められる運動前のストレッチはどうしたらええんや?という声が聞こえてきそうですが、体を動かしながらほぐしていく「動的ストレッチ」が推奨されています。
具体的に言うと、陸上部がよくやってるドリルやサッカー部がよくやってるブラジル体操が動的ストレッチにあたります。
動的ストレッチでは可動域の8割程度で関節を動かしながらほぐしていくことで、静的ストレッチのように伸ばしすぎることがなくなり、また筋肉への刺激にもなるため、ウォームアップとしてとても効果的です。
静的ストレッチはクールダウンでやる
静的ストレッチは疲労回復・筋肉痛予防・リラックスの効果を狙って、運動後のクールダウンとしてやるのがよいそうです。
運動後は静的ストレッチをしっかりやって、身も心も休めましょう。
取り組む競技や自分自身の柔軟性も考慮して自分なりのウォームアップを確立すべし
私が思うに、いろんなスポーツで求められる柔軟性ってそれぞれ違うと思います。
この記事は短距離走を基準にして書いていますので、静的ストレッチはやりすぎるな!という結論になっていますが、その他の競技であれば必ずしも同じ結論にはならないかもしれません。
例えば、新体操のように柔軟性が求められる競技の場合は、運動前に十分な静的ストレッチが求められると思います。
また、人によっても、その人の体の部位によっても柔軟性は様々です。
なので、
自分がこれから取り組むスポーツの特性、自分自身の特徴などを考慮して、効果的なウォームアップとなるよう静的ストレッチと動的ストレッチを組み合わせて準備していくことが大切だと思います。
みなさんも、自分にあったストレッチ法を確立していってください。